かみむすび(31)空虚な自分
空っぽな自分には乾いた砂の虚しさが広がっている。
何度もそこで自分を見つめたが、空虚でしかない。
そこに何かを育てようとしたが、何の芽もでなかった。
空虚は空虚として、何者も受け入れない凍えた厳しさがあった。
そうして私はいつまでも空虚だった。
空虚であるなら、私に何の意味があるのだろうか。
私の本質は空虚であり、決して何者にもなれないのだ。
私はそんな空虚に抗って苦しんでいた。
しかし、私は空虚な自分を受け入れた。
私はどうあがいても空虚でしかないのだ。
そのとき、私は空虚の中に満たされている存在を感じた。
私は空虚ではなく、存在に満たされていた。
私は目を閉じてただその存在を感じた。
私は自分が存在だと確かに感じていた。
その存在は世界の最深部ですべてを支えていた。
何者にもならないことで、それはなされていた。
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