最後の教えはあの夜に語られた(11)
私は光を求めた。
光の世界に生きる幸せを求めた。
闇はただ重苦しいだけで、そこにいるだけで生きている実感を失わさせる。
私は闇を凝視して、光が現れることを願った。
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光の世界を見てしまった私は、それを願わずにいられなくなった。
何の動きもない闇の世界は私を絶望させ苛立たせるだけだった。
私が光を望んでいると、やがて夜明けが訪れた。
世界はその光を注がれて、再び生き生きと躍動し始めた。
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そして、太陽が姿を隠すと、また闇が訪れた。
私は光と闇のこの繰り返しの中にいた。
いつも光を望み、闇から逃れようとしていた。
光は訪れたが、闇から逃れることもできなかった。
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私が闇である時、光が訪れる。
私が光である時、闇が訪れる。
私は闇なのか、それとも光なのか。
女王は私に何を伝えようとしているのか。
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闇であるときも、光であるときも、そこに「在る」はあった。
そこに私はいたのだ。
私は闇でも光でもなく、「在る」だった。
私は闇に於いても光に於いても何も変わらずにいたのだ。
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私は闇の中にいた。
私はそこにいた。
その私は明らかに闇ではなかった。
「在る」としか言いようがない。
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私は闇しか見ていなかった。
もちろんそこには闇しか見えなかった。
だから、すべてが闇だと思ったのだ。
だが、それを見ていた自分自身を忘れていた。
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