かみむすび(26)震える風車
心の中に描かれる歓喜は金色の至福に輝いている。
恐れは黒く固まって心の底へと降り積もる。
悲しみは青い影となって雨の夜を奏でている。
怒りは赤い溶岩になり大地に深い傷跡をつくる。
言葉は鳥のように闇から現われて闇へと消え去る。
そこには何の軌跡も残らない。
その言葉が闇から現われた手に捕まって飲み込まれた。
いくつのも言葉たちが檻の中に閉じ込められた。
檻の中の言葉は知恵を叫んで、私をそこに縛り付けた。
私は金色の衣を与えられ、黒い塊を腹に宿した。
青い影を顔に刻み、赤い溶岩で胸を焼いていた。
そうして風車のように震えながら回っていたのだ。
私は息苦しい檻の中でうつむいて眠っていた。
そこで目覚めて空を見上げたとき、風が笑って私に手を伸ばした。
言葉たちが騒ぎ出したが、私は風の手で空へと引き上げられた。
そこで私はすべてを失い、すべてを手にしたのだ。
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