かみむすび(21)時の河
時の河は流れ続けて、止まることを知らない。
止まることを知らないと思っている間にも、
時はすべてを過去に置き去りにして流れていく。
この流れに逆らえる者など誰もいない。
誰もが時の河を一緒に流れていく。
付いたり離れたり、美しかったり醜かったり。
笑ったり怒ったり、成功したり失敗したり。
そうしてその川面が二度と同じ形になることはない。
時の河に流されない者がいる。
それは時の河そのものだ。
時の河は始まりから終わりまでひとつとしてある。
時の河は流れているが、時の河自体は流れていない。
私は時の河を流れ行く者であり時の河自身。
私は流されながらも、決して流されることがない。
私は流れて常に変わっていくが、まったく変わらない。
私とはそういう者だと時の河が私に告げた。
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