最後の教えはあの夜に語られた(3)
馬車が夜の館に到着すると、女王が出迎えてくれた。
女王は私に美しい微笑みを私に投げかけた。
私はその高貴な姿を目にしてめまいがした。
馬車を降りる私の手を取ると、女王が話し始めた。
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「夜の館に来てくれて感謝します。
私の遣わした娘たちによくついてきてくれました。
あなたは不審に思ってついてくる必要もなかったでしょうに。
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私はこの人ならと思う方をこの館に招きます。
そして、ここで私の教えを受け取って、それを持ち帰ってもらいます。
その後に、その教えを自分でよく吟味してほしいのです。
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私が語ることの意味を理解する人はほとんどいません。
この話を理解できない人に話して聞かせても、ほとんど意味がないのです。
興味がなければ、宝石もただの石にしかなりません。
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私は少なからず理解できる人にこの教えを伝えたい。
これはこの世界の最後の教えなのです。
そういうことです。
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ただし、私の言うことを決して鵜呑みにしないでください。
私はあなたに信じるべき何かを押し付けるつもりはありません。
あなた自身でそれを確かめて、自分で直に認めることができた後に、
それを自分の真実として欲しいのです。
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私がお話することは『在る』ということについてです。
無いこと、すなわち『無』についての話は意味がありません。
『無』は『無』であり、この世界には存在しないものです。
存在しないものを取り上げて話しをしもて何にもなりません。
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『在る』ということが、この世界の最深部にあって、その基盤になっています。
あなたが理解するべきことはこの『在る』についてです。
この世界の始まりが『在る』であり、
すべてのものはこの『在る』によって成り立っています。
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