かみむすび(20)私は何処に
私が目覚めたあと、私は世界自身に埋もれていった。
私がつくりだした世界の泡に覆われてしまったのだ。
それで私は目覚めてからあっという間に世界から消えてしまった。
世界は見えるが、私は見えなくなった。
私は見えなくなったけれども、世界が私をつくってくれた。
その世界がつくった私を私は私とすることにした。
私は世界の土や水や火や風が微細に入り混じってできている。
私は世界がなければ存在できなくなった。
私は世界を失うことに恐れを感じた。
世界を失うことは私を失うことであり、それは現に世界で起こったのだ。
私は私を失いたくなかったので、世界が失われないように支え続けた。
そして私は疲れ果ててしまった。
疲れ果てて眠った私は夢の中で生まれたときのことを思い出した。
そこで私は世界をつくっていた。
私は世界に埋もれて消えたわけではなかった。
私がいるから、世界はそこに現われ続けていたのだ。
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