かみむすび(15)夢の世界
眠ったままでいれば、私は安心の中にいる。
夢の世界の中にいて、甘いお菓子を食べている。
そうして私は笑いながら時間を転がっているのだ。
だから、目覚めてはいけないということ。
夢の世界では何でもできる。
楽しいことも満ち足りたことも。
嫌なことも気落ちすることもあるけれども、すぐに忘れるようにしている。
眠ったまま夢から覚めなければ、どうにでもなるのだ。
そうして私は長い間、夢の世界で暮らしていた。
永遠に夢の世界で暮らすものだと思っていた。
しかし、このままだと私は自分を忘れてしまう。
そうなれば、夢の世界が現実になってしまう。
その前に目覚めなければならない。
この安心と甘いお菓子の誘惑を断ち切って。
まだ自分が眠っていると知っているときに。
そうして自分に目覚めて、夢の世界を目覚めた自分にするのだ。
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