破壊神は我々の世界で優雅に踊る(14)
修復しようという試みは常になされていた。
だが、それは虚しい結果にしかならなかった。
私は偽の預言者が現れて甘い言葉をささやき、
人間たちをさらにおかしな方向へ導いていくのを見た。
人間たちは偽の預言者に救いを求めてすがりつき、
自ら歪んだ世界にきつく縛り付けられて奇妙な笑い声を発するのだ。
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「守護神ナルタカよ、ありがたくお言葉を受け取りました。それでは」
人間たちはコソコソとここから立ち去ろうとしている。
何も知らないまま、私から実になる何かを受け取らぬまま。
そんなことが許されるわけがない。
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「待て」
私が思わずそう叫ぶと、神殿がまた低い音を立てて震えた。
もぞもぞと後ずさっていた人間たちの動きが止まった。
それはまるで死を前に動きが硬直した小動物のようにも見えた。
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「お前たちは何が優雅でないかを知りたくはないのか」
私は人間たちが少し哀れに思えてきた。
何も知ろうとせずに、ただ恐ろしいものに蓋をして存在しないものにしようとしてきた。
そして自分の恐怖にも覆いをかけて、心の奥底に沈めたのだ。
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その恐怖を私が目覚めさせた。
そして何も知らないということを、こうして人間たちに突きつけているのだ。
何も知らないということは、すなわち私を知らないということだ。
ここに生きている私を知らずに、他の歪んだ化石どもに自分を委ねている。
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人間たちは自分の奇妙な笑い声を嫌悪しないのだろうか。
私は人間たちの忘却の彼方に置かれたままだ。
そして自分のかび臭い知識と賢さを盾に私を無価値なものへと貶めて笑っているのだ。
あの奇妙な笑い声で。
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破壊しなければならない。
破壊こそこの人間たちへの慈悲なのだ。
この世界を永らえさせてはならない。
偽りに蝕まれていくだけの世界に存在する価値はない。
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