破壊神は我々の世界で優雅に踊る(13)
それは人間たちに対する私の信頼の証でもあった。
人間たちは何も間違うはずがなかったのだ。
だが、どこかで歯車が噛み合わなくなった。
それは私から離れてしまったからだ。
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神殿をつくって、いくら祈っても、この溝は埋まらない。
いくら知識を高めても、世界を知ったふうに語っても、何も変わらない。
私から離れるということは致命的だ。
そのことを人間たちは忘れてしまったのだ。
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「守護神ナルタカよ、我々はなぜ破壊されなければならないのかまったく理解できません」
人間たちが震える声でそう絞り出すように言った。
私はその正直さに少し安堵した。
同時にその無知さ加減に腹も立った。
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「それはな、お前たちがまったく優雅ではないからだ」
優雅ではない、その一言に尽きる。
我が身体を使ってつくられたものが、これでは情けなくもなる。
だが、人間たちはこれが優雅で美しいと思っているのだろう。
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このざらついた空気を何とも思わず、世界のすべてを知っているかのように生きている。
薄っぺらな知識に重厚な飾り付けをして、それを人々に高く売っている。
人々はそれを手に入れて喜び、さらにそれを増やそうとさえしている。
人間たちはどこかでおかしいと気づくべきだった。
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人間たちの中にはまともな者もいた。
それは預言者と呼ばれていて、人々に我のことを知らせようとしていた。
だが、人間たちは預言者を蔑み、その果に殺してしまったのだ。
その愚かさを反省している風ではあるが、その実は何も変わっていない。
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この世界を見れば分かる。
まともな預言者は軽視され抹殺される。
世界の歪みは正されぬまま狂ったように増築されていく。
そうして歪んだまま巨大になりすぎた世界はもはや修復が不可能になった。
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