破壊神は我々の世界で優雅に踊る(9)

誰でもない私がそんなことを考えるのはおかしな話かもしれない。

だが、誰でもない私だから、今の私だから分かることなのかもしれない。

ただ、すでに我々も世界も失われてしまった。

すべてはいまこの漆黒の闇に消え去ってしまったのだ。

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遠くから声が聞こえた。

大勢の人間たちの声だ。

私はこの漆黒の世界のどこからその声が聞こえてくるのか分からなかった。

そこでよく耳を澄ませた。

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それは大勢の人間たちの祈りの声だった。

私はその祈りの声を聞いて安心を覚えた。

愚かではない人間たちもいるのだ。

そこには真実を求め、真実とつながろうとする者たちがいる。

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私はそんな祈りの声を聞いていると、荒れた気持ちが落ち着くのを感じた。

私の過去の失敗を慰めてくれているのような気もした。

だが、私はその祈りに何かの違和感を感じ取った。

この祈りは形だけではないのかと訝しんだ。

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「守護神ナルタカよ」

そのとき、すぐそばで人間が私にそう話しかけた。

「どうかすっとそのままお鎮まりください。我々の美しい世界が安泰であるように」

人間は何度もそう言って私に祈った。

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我々の世界、我々の世界とは何だ。

私を暗闇に閉じ込めておいて、その間に人間たちはいったい何をしているのだ。

私はその我々の世界とやらを見てみたくなった。

そして、人間の声のする方へと意識を向けてみた。

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私は暗闇から薄明かりが差すように視界が開けていくのを感じた。

様々な色彩がくもりガラスを通すようにぼんやりと見えていた。

やがて、ぼんやりとした形がはっきりとした輪郭に変わっていった。

いつのまにか、私は人間の誰かの目を通して世界を眺めていた。

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。