かみむすび(7)最後の戦い
私は何かと戦い続けてきて、とても疲れてしまった。
この戦いに見合うものを私は手に入れたのだろうか。
この世界に生まれてから、ただその時その時を切り開きながら生きてきた。
私にとって生きるということは、そうして戦うことだった。
戦うために意志の力を養い、知識を身に着けた。
共に戦う仲間もいたが、倒すべき敵も多かった。
私はその戦いの先にあるといわれている世界の頂点を目指していた。
その頂点に到達することが、この戦いの目的だった。
そして、私はいまその頂点に到達した。
だが、戦い続きで疲れ果て、
体中を覆う黒い傷口は癒やされることもなく風に晒されている。
頂点のすぐ下にはおびただしい数の屍が横たわっていた。
それらはみんな私と同じ顔をしていた。
頂点には到達したが、結局、私はここで死ぬのだ。
私は抗うことなくそこで死を受け入れ、頂点から転げ落ちてひとつの屍になった。
そうして私は私を失ったが、私はまだ頂点にいた。
私は屍になることで、死を超越した自分に目覚める時を迎えたのだ。
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