破壊神は我々の世界で優雅に踊る(1)
それを破壊しなければならない。
それは優雅ではないからだ。
破壊神ナルタカはそう言うと我々の世界で踊り始めた。
(古代の伝承)
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我々は破壊神ナルタカを恐れていた。
ナルタカは我々の何かに怒りを感じている。
しかし、我々はナルタカが何に怒りを抱いているのか分からなかった。
我々はただナルタカの怒りを恐れるばかりだった。
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我々の大地は何度もナルタカに踏みにじられた。
美しく創造された世界はナルタカの激しい炎で焼き尽くされて無残な姿になった。
ナルタカは世界を破壊し尽くすと満足してその場に鎮まった。
我々はその間に、世界を元に戻さなければならなかった。
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我々は長い年月をかけて、荒れ果てた世界をもとの美しい姿に戻した。
我々は再び創造された世界の姿に満足し、その心地よさに酔いしれた。
そして、再びナルタカが目覚めるのを恐れた。
我々はこの愛する世界を理不尽に破壊されたくなかったのだ。
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我々はナルタカがずっと鎮まっているよう、その場に神殿をつくった。
そして、日々、そこで祈りを捧げた。
その祈りは絶え間なく続けられた。
そうしていれば、ナルタカは鎮まっているようだった。
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しかし、我々は鎮まっているナルタカに安心して、次第に祈りを忘れていった。
そして、美しい世界で楽しく生きることに夢中になった。
やがてナルタカは目覚めて、また我々の世界を破壊し尽くした。
我々は焼け野原になった世界を見て途方に暮れた。
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