その魂は果てしない旅の終わりに(6)
魂の真実とは空っぽだということだ。
そして魂はその空っぽの自分でいることに耐えられないのだ。
では魂がその空っぽの自分に耐えることができればいいのかというとそう話は単純ではなかった。
魂にとっては空っぽでいることが不自然極まりないことなのだ。
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魂が人間として生まれることはもはや制御不能。
たとえ制御したとしても魂の熱望を消したわけではないため、
それがいつ爆発するかだけの問題だった。
魂は人間として生まれるループを崩すことができないのだ。
つまり、魂が制御不能であるなら、
人間として生きている時に
そのループを崩す何かを見つけなければならないということになる。
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あなたにできることはひとつしかなかった。
魂という器に何を入れるとかということだ。
あなたはそれを選択することができた。
いままであなたはそれを美しいか醜いかの基準で探してきた。
あるいは好きか嫌いか。
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あらなたは世界で何でも選択することができた。
ただ、何を取り込めば、魂の繰り返しがとまるのか知らなかった。
あなたはこのループをとめる何かを知る必要があった。
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世界にある素晴らしいものや奇跡的なものたちを探し求めて手に入れた。
それを手にして何度も幸せで満ち足りた気持ちにもなった。
だが、あなたが何を取り込んでもどんなに幸せな気持ちになっても、
魂はその繰り返しをやめようとしなかった。
それは結局、魂の欲望を鎮める何かではなかったのだ。
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あなたは途方に暮れた。
もう何をしても正解ではないことは分かっている。
何をしても駄目であるならと、何もしない人生を過ごしたこともあった。
それでも死が訪れて、またあなたは生まれ変わった。
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あなたは万策尽きた。何をしても上手くいかない。
これは魂の運命として受け入れるしかないことなのかもしれないとも思った。
だが、あなたは心のどこかでこのループの抜け道があることを知っていた。
理由はないけれども、それは必ずあると確信していたのだ。
このなんとも説明し難い気持ちだけであなたはそれを諦められなかった。
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