その魂は果てしない旅の終わりに(4)
この何度もループされる人生の中であなたは考えた。
何がこうさせているのか。
あなたはこの繰り返しをやめたかった。
醜さを美しさで覆い隠しながら生きる人生に意味を見いだせなくなった。
そんな人生はまるで偽りで、たとえ死によってリセットされても、また同じ偽りの繰り返しに戻るだけなのだ。
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あなたは生きている間中、何かが違うという違和感を抱え続けた。
ここから離れる必要があると分かっていた。
それは暗闇の中で見えない扉を探し続けているようだった。
だがあるときあなたは気づいた。
こうして心を痛めてるのが誰なのか知らないということに。
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あなたは人間として生きながら自分をつくりあげようとしてきた。
それは完成する前に死を迎えて、すべてがリセットされた。
すべてを吐き出した空っぽの魂だけがそこに残り、それはまた人間として生まれる種になった。
そうして人間になってどんな自分をつくりあげても同じことが繰り返された。
あなたは最後に必ず自分を失うのだ。
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あなたは必ず最後に自分を失い、そこに空っぽの魂だけが残された。
空っぽの魂はそのままではいられないと思うため、それが人間として生まれる原動力になった。
あなたは死んだあと空っぽの魂に戻ることに薄々感づいていた。
だがいったい誰がそれに気づいているのだろうか。
それは魂なのか人間なのか。
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あなたは自分が魂なのか人間なのかさえはっきりしなかった。
この繰り返しには魂と人間以外に見えない誰かが存在しているようにも思えた。
それはただの幻想なのかもしれない。
ただその誰かを知らなければ、いつまでもこのループは終わらない気がした。
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あなたが人間であるとき、もしかすると自分は魂なのかもしれないとも考えた。
魂が人間に生まれることを望むなら、その原因は魂にあるはずだ。
つまり自分の根源は魂だということになる。
魂が呼吸をするように人間になって、そこに何かを取り込み、そして吐き出す。
人間は何かを取り込んで姿を変えるが、魂は器として変わらないままだ。
つまり、そこにはひとつの一貫した客観性が存在している。
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ここであなたは人間として繰り返される人生から離れる場面に入っていった。
そして自分とは誰なのかという探求が高度な場面に変わった。
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