この美しい世界を見つけたなら(1)
(1)神の告白
私は神と呼ばれています。
神と呼ばれることに抵抗はありません。
何と呼ばれたとしても
私にとってそれほど大事な問題ではないのです。
どう呼ばれようとも、
私が私であることには変わりないからです。
実際には、私は名もない存在です。
元々、名前には何のこだわりもありませんでした。
しかし、人間にとっては、
世界にあるものに名前があることは大切なことです。
そうであっても、私は名前など必要のない存在でした。
むしろ、名前がない方が好都合でした。
それでも誰かに、あなたは誰ですかと聞かれたなら、
私は名乗らなければならないでしょう。
人間にとって、名前があることが当たり前で
それが世界を分類するために必要なことだからです。
私も世界の一員として、
当然、名前を持っていてしかるべきなのでしょう。
ただ、私は目立たない存在でしたので、
まったく名乗る機会がありませんでした。
それで、私は名前のないままに
長い時を世界で過ごしてきました。
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