悟った人が知っていること(5)

私が悟ったばかりのころ、

そこにはまだ自分が身体や心だった

感覚が残っていました。

そのため、気がつくと

身体や心の幸福を気にしていました。

私は身体と心の現実感を

完全に手放すことができなかったのです。

すべての概念が変わってしまっても、

私は悟りが何かしらの形で与えてくれる

現実的な甘い幸福を密かに待ち望んでいました。

しかし、本当の自分としての幸福とは、

つまり新しい概念での幸福は、

ただ本当の自分でいることだけです。

たった、それだけです。

それ以上のことは何もありません。

私は本当の自分でいることで、

すでに幸せだったのです。

私はそこで最高の状態に置かれていました。

存在でいること以上のことはこの世界にはないのです。

そのとき、私はそのことを

完全には理解していませんでした。

まだ、身体や心が体験した

幸福の記憶を握りしめていました。

それこそが現実だという思いが

心の中に残っていたのです。

しかし、自分が存在であることで、

私は悟りという新しい概念を

少しづつ消化していきました。

この世界で唯一変化しないものは存在だけです。

他のものたちは、必ず変化していきます。

他のものたちは変化するその度に、

その価値が高くなったり低くなったりします。

今まで、その価値の変化に私は苦しんでいました。

私はそのときのことを

振り返ってみることができました。

私は苦労して手に入れた高い価値が

無情にも色あせていく姿に、

何度も悲嘆の涙を流していました。

この世界で唯一失われないものは存在だけです。

どれだけ素晴らしい幸福感でも

必ず失われていきます。

自分の中にこの存在を確信したとき、

今まで私がこれだと信じてきた自分の拠り所は

次第にその現実味を失っていきました。

もはや、この身体や心が

自分の拠り所にならないことは明白です。

私は存在という拠り所をしっかりとつかみました。

思い起こせば、そのときの私は、

まだ身体と心といった過去の拠り所と、

覚えたての小さな拠り所であった存在との

両方をつかんでいたのです。

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。