悟った人が知っていること(1)
私が自分の真実を悟ったあとに、
はじめて分かったことがいくつかありました。
その悟りについて、ひとつ確かに言えることは、
それが悟る前に期待していたそれとは、
かなり違っているということです。
私は悟りを得たなら、
もっと幸せになれると期待していました。
少なくとも、気が楽になったり、
心に喜びが増えると思っていました。
それはまったくの思い違いというわけではなかったのですが、
私が期待していた幸せではありませんでした。
私が期待していた幸せとはこの身体や心の幸せです。
身体は重力から解放されたように軽やかになり、
生命力あふれる波動が体内を滞りなく巡っている。
私はそれを感じて、ふと笑顔になる。
心には何の悩みもなく、
今この瞬間を生きている実感があり、
常に遮るもののない明晰さがあり、
的確な洞察が直接心に届けられる。
そして、晴れやかな気持ちが失われることなく続いてく。
幸せとは、そんな身体も心も穏やかで、
満ち足りている状態になること。
私はそれが悟りを得た後に
約束されていると信じていたのです。
それに何かの根拠があったわけではありません。
それは私の幸せな状態のただのイメージです。
私はいつもそうなることを願っていて、
それを悟りの状態に重ね合わせていたのかもしれません。
悟りのあと、確かに体の調子が良くなることもありました。
心も明るく穏やかになった気がします。
しかし、相変わらず身体には痛みが起こり、
熱が出たり、調子が優れない時もありました。
心にも悲しみや焦り、怒りを感じることがあります。
過去の記憶に悩まされたり、将来を悲観したりもします。
それは悟りを失ったからではありません。
私は自分が悟っている状態であることを何度も確認しました。
それは間違いありませんでした。
つまり、悟りを得ても、
期待した幸福が起こるわけではないということです。
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