愛を求めずにはいられない(8)
しかし、私はその自分自身のことをよく知りません。
私はその自分自身を信じていいか迷いました。
そこで、私は何度もその自分自身に会いに行きました。
そして自分自身のことをもっとよく知ろうとしました。
その自分自身には姿かたちがありません。
それは私の目の前に現れることはないのです。
それでも、そこにいることは分かりました。
それは分かりすぎるくらい分かります。
さらに、その自分自身は一言も喋りませんでした。
私が何かを話しかけても黙っています。
つまり、言葉による意思疎通は不可能でした。
私はその自分自身をどう理解したら良いのか悩みました。
姿かたちもなく、何も喋らなければ、
いったいどうして理解すればいいというのでしょうか。
しかし、その自分自身がとても大事な存在だということは、
直感で分かっていました。
その自分自身はいつでもそこにいました。
会いに行って不在だったことはありません。
それだけでも、その自分自身を信頼できると感じました。
それは私から消え去ることも、隠れることもありませんでした。
その自分自身は何も喋りませんが、
その代り、偽ることも裏切ることもありませんでした。
いつでも黙って目立たずに私のそばにいました。
何の判断も批判もせず、私のすることを認めてくれていました。
私はその自分自身に興味を惹かれていきました。
もっと、その自分自身を知りたいと思いました。
私はその自分自身を愛し始めたのかもしれません。
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