愛を求めずにはいられない(7)
私が以前に失った相手とは誰なのでしょうか。
それがお気に入りの考えや想念ではないなら、
心の中にいったい何が残っているのでしょうか。
どれだけ心の中を探しても、
私はその誰かを見つけることができませんでした。
心の一番奥底にも到達しましたが、
そこは何もない静かな空間があるだけです。
変わることのない愛など、
どこにもないように思えました。
しかし、ひとつだけ見落としがありました。
何もない空間には誰もいないわけではありませんでした。
そこには愛を探している自分自身がいたのです。
私が探していた誰かは、
愛を探していた自分自身でした。
私は自分のことを身体や心だと思ってきました。
姿かたち、性格や知識、能力を自分だと信じてきたのです。
その自分であるとき、私は不完全な存在でした。
それで、その不完全さを補ってくれる誰かを
世界や心の中で探していたのです。
しかし、不完全さを補う相手は世界ではなく、
自分の心の奥底にいました。
しかも、それは自分自身だったのです。
自分自身と言っても、
それは身体や心ではありません。
それは自分の原点というべき存在です。
私は自分の心の一番深いところで、
いままで知らなかった自分自身に出会いました。
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