愛を求めずにはいられない(6)
私を完成させてくれる愛は私の中にありました。
それは、世界の中で見つけてきた愛する誰かではありません。
私の中に、そのつながりが途切れてしまった誰かがいました。
その誰かを失ったために、私は不完全な存在になったのです。
私は元々完全でした。
しかし、あるとき突然不完全になってしまいました。
私は完全性を取り戻すために、
断ち切れてしまったその誰かと再びつながる必要がありました。
そうしなければ、不完全な自分に苦しみ続けることになります。
それを取り戻すためには強い力が必要です。
私は愛という感情の強さを知って、
その感情を使って、完全な自分に戻ろうとしました。
私はその力を当たり前のように世界に対して使いました。
しかし、強い愛で世界に誰かを求めても、
私の完全性を取り戻すことにはできませんでした。
それで、私は自分の中にその相手を探すことにしました。
私は自分の中の思考を愛しました。
それを愛することで、私は変わっていきました。
私の独特な考え方、高尚な哲学、洗練された教養、
そういった思考とのつながりは私を満足させていきました。
それは上手くいくのではないかと思われました。
私は思考によって完全になるのを感じました。
思考の愛は私を裏切ることもなく、
それが私を攻撃する感情に変容することもありません。
しかし、それも良いことばかりではありませんでした。
思考と愛で完全になった私は、
その思考に振り回されるようになっていったのです。
確かだと信じていた思考は、
実はいつも変化していて、
まるで気まぐれに現れたり消えたりします。
それが不安定になる度に、
私は完全性を失ったのではないかと感じて、
不安になり、苦しむことになりました。
私は自分の思考を愛することに疲れてきました。
自分の中にあるものでさえ、
私を完全にすることはできないという現実に、
私は途方に暮れる思いでした。
結局、それは世界の中で、
変わることのない永遠の愛を見つけようとしていることと、
それほど変わることがなかったのです。
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