愛を求めずにはいられない(2)
私が誰かを愛するのは、
その人とつながって完全になりたいからでした。
そこで私が感じる幸福感は、その完全性の証明になります。
そのため、もし私に幸福感がなければ、
それは自分が不完全だということを
証明していると感じてしまいます。
私は自分が不完全であることに満足していませんでした。
そうして満たされないままでいることは苦しみでした。
それで、私は完全になるために、
誰かとの強い結びつきを求めました。
強い結びつきはより強い愛を生み出し、
それによって自分が完全になり、
幸福になると信じていたからです。
そうして私はより強い愛を求めました。
しかし、それは良いことばかりではありませんでした。
愛することは完全性と真逆の方に向かうことがあったのです。
いま強く愛している人がいるのに、
自分が完全ではないと思えることがあります。
その幸福感にも翳りがあります。
それは自分に合った愛ではないからかもしれないと考えました。
私はそんな気持ちを打ち消すようにもっと強く愛してもみましたが、
どれだけ愛を強めていっても、
自分が完全だと思える状態にはなりませんでした。
それは幸福感の欠如や苦痛、空虚感によって現れました。
愛が完全であるなら、そんなことは起こらないはずです。
そこで、この不完全な感覚は、
相手の愛が原因かもしれないと考えました。
二人の愛の何かがずれているために、
満たされないのだと思ったのです。
そして、相手の愛を自分に合うように変えようとしました。
しかし、それは相手との気持ちの軋轢を生むだけでした。
私のしたことは自分の完全性を修復するはずが、
さらにそれを壊すだけの結果になりました。
この愛で自分が完全性を取り戻せないのであれば、
私は違う愛を探すしかないと思いました。
他の誰かなら、もしかすると、
その愛で自分を完全にしてくれるのはずだと思ったのです。
もちろん、そんな独りよがりの私の思いに沿って、
私を愛し完全にしてくれる相手など、
この世界には存在しませんでした。
それでも、自分を幸せで完全にしてくれる理想の愛を求めて、
世界中を探し続けるしか、私には選択肢がありませんでした。
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