生きているという現実の中で(12)
それでは、心の中はどうでしょうか。
心は世界よりもさらに生滅が激しいところです。
思考や感情がものすごい速度で
現れては消えていきます。
ここにも不滅のものなどなさそうです。
魂はどうでしょうか。
魂は無になることなく続いている存在のように思えます。
それは死後も私たちの何かを包んで運んでいます。
ただ、それは包み運ぶ役割しかなく、
それ自体が私を不死にするものではありません。
それに、魂も存在しているということは、
誕生した時があるわけで、
それさえいつか無に帰するものです。
この世界には不滅のものなど見当たりませんでした。
私の知っている世界のどこにも不滅のものはありません。
それが私の結論でした。
この世界に在るものすべてが、
必ず変化し消えていく運命にありました。
私は生きていることに何の希望もないと思いました。
この輪の中で永遠に繰り返される転生を
私は受け入れ続けていくしか道はないと諦めました。
それが人間として生きている者の宿命なのだと。
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