生きているという現実の中で(11)
私は永遠なるものを求めて、
楽しく幸せな経験の連続に、それを得ようともしました。
幸せな気持が強くなれば、
それは死んでも無くならないかもしれないと思ったのです。
しかし、それはどれだけ努力しても成功しませんでした。
ずっと幸せな気持ちでいることなど不可能だったのです。
自分の人生を永遠にすることができれば、
決して無くならないものを
得ることができるかもしれないとも思いました。
自分が死ななければ、
自分の人生のすべては生かされ続けるはずです。
そんな不滅な自分こそが、
私の求めている永遠なるものだと思ったのです。
しかし、そんな不滅な自分になることなど、
夢物語だと知っていました。
私は死という絶対的な支配者に、
決して勝つことなどできないのです。
どれだけ健康に気を配ったとしても、
この身体が死という制限から逃れることは不可能でした。
この広い世界の中のどこにも、
不滅のものなどありませんでした。
長い時間存在するものはありますが、
それは不滅ではありません。
人間よりも遥かに長く存在するものでさえ、
いつか必ず無に帰する時が来るのです。
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