生きているという現実の中で(8)
ただ、私にはこの輪から離れる力が与えられていました。
それが智慧と呼ばれる真実を見抜く目のことです。
この智慧を使うことができれば、
私はこの輪から逃れて、
何度も生まれ変わる必要がなくなるのです。
輪の中に捉えられていた自分から足かせが外れて、
完全に自由な存在になります。
それは人間として人生で得られる自由を
遥かに超えた自由です。
しかし、人間は自由を恐れてもいます。
世界を自由に旅する自由は欲しくても、
それ以上の自由には躊躇します。
そこまでの自由は求めていないと、
まるでカゴから出ることを拒む鳥のように、
制限された自由にとどまるのです。
私にとって制限された自由は
とても馴染みがあるものでした。
好きなときに好きな格好で
好きな場所へ行く自由があること、
これだけで十分で、
それ以上の自由など想像もできませんでした。
想像できないために、
それを無理に求めることもあえてしませんでした。
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