生きているという現実の中で(6)
しかし、この人生の繰り返しは、
何処まで続くのか分かりませんでした。
私は何かを得たり失ったりしながら、
生まれたり死んだりして、
まるで大きな輪の中を
終わることなく巡っているようでした。
それは気のせいではなく、
現実に、私は得体の知れない巨大な輪の中に
閉じ込められていたのです。
それでも、そこで楽しい人生を経験できるなら、
私は無理にそこから離れる必要はないと考えました。
もし、私が狭い檻の中に閉じ込められていたなら、
そこに窮屈さを感じて、
不満が起こったかもしれません。
しかし、その檻は果てしない広さがあり、
私に閉じ込められているという実感が起こらず、
むしろ、そこは私が生きるための条件が整った
快適な環境だとさえ感じられたのです。
その環境の中での出来事が私のすべてでした。
この大きな輪の中でいかに楽しく人生を生きるのかが、
私のただひとつの目的になっていました。
0コメント