超人ザオタル(72)自分の定義

アジタは困惑の顔になった。

「…、これが自分ではないと言われるのですか、ザオタル殿」

そう言って、片手で自分の胸に触れた。

「これが自分でないなら、いったい何が自分なのでしょうかな。


この確かな自分であることが、この世界での存在条件であり、

そこから我々は自分を高めるために旅をしているのです。

世界で様々な経験をして、人間として大切なことを学ぶ。

もちろん草原もそのひとつ。


私はあの草原に行き着き、そこで自分を高めた。

それは実に確かな経験であり、

人に分かち合うことのできる物語なのです。

健全な身体と清らかな心こそが求めている自分の姿。


それは完全ではなく、神しか体現できないものかもしれない。

だからこそ神に触れて、少しでもそれに近づく。

それがこの世界での価値であり、

そう、自分探しとはそういうことなのです」


いつの間にか、二人の周りに人が集まって、

黙ってこの話を聞いていた。

アジタの言うことはもっともなことだ。

その考えはとてもよく分かる。


かつては私もそう考えていたのだ。

それを求めて道を歩んでいた。

だが、私がその考えに戻ることはない。

この話を適当に打ち切ることもできたが、そうはしたくなかった。


はたしてアジタが私の話を受け入れられるのかどうか興味もあった。

それにしても、どこからどう話を進めればいいのか。

その取っ掛かりを探るために、私は一呼吸おいた。

アジタは自信に満ちた顔で私を見つめている。


「真実とは何でしょうか、アジタ殿」

私は静かに話し始めた。

「哲学の話ですかな、いいでしょう。

そうですな、真実とは人にとって最も大切なもの。


それは嘘偽りなく、現実であり、高貴であり、

誰もが求める神のごとく価値のあるもの。

私たちはそれを世界に求めているのです。

それを手に入れたなら、満たされた自分になることができます。


私の心は邪念がなく、いつも落ち着いている。

身体は力がみなぎり、軽やかに歩くことができる。

すべての活動が円滑に運び、願いは必ず叶う。

真実は目には見えぬものだが、


それに触れた結果は目に見えるものとして現れるのです。

私は真実をそのように捉えておりますよ」

アジタは胸を張ってそう答えた。

「真実とは嘘偽りなく現実であること、


そのことには私も同意します。

では現実とは何でしょうか、アジタ殿」

私の心は澄み切っていて、何の考えもなかった。

そこから自然と言葉が起こっていた。


空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で今まで気づかなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい人生が始まっていきます。