超人ザオタル(65)アルマティの話

「不思議にお感じでしょうが、そういうことです、ザオタル。

私はそこであなたを見つけましたが、

私にしてみれば、それは私を見つけたのです。

それが私があなたを見つけた理由です。


私はザオタルの姿をした自分を見捨てることができませんでした。

瀕死の状態の私の真実を救わなければならなかったのです。

そうしなければ、私は死んでしまうと感じました。

私が死ねば、真実は朽ち果てて、ただの土塊になります。


そうなったなら、私は真実を見つけることが不可能になります。

私はこの真実が消えないように見守りました。

闇夜でも光を絶やさぬように、まきを燃やしました。

私であるあなたが気づいてくれるように祈りました。


あなたが気づいたとき、私は喜びで満ち溢れました。

これで私は真実によって救われるのだと思いました。

あなたを我が家に運び入れたとき、真実が近くに在るのを感じました。

あとは私が真実を知り、真実になることだけが残されたのです。


そして私はあなたに導かれて真実を知りました。

私が真実を知ると、あなたは家を出ていきました。

真実は真実が薄いところに導かれる性質を持っています。

あなたは真実が薄いところを探してさまよいました。


しかしそこは草原の中にはありませんでした。

草原は私であり、私は真実を知ってしまったのです。

それであなたは草原を出ていきました。

イサトが指差したのは真実が薄い方向です」


「それで私がここにいるというわけなのだな」

私はそうつぶやくように言った。

「ええ、あなたは真実なので、どこかに行くということはありません。

あなたはいつでもそこにいます。


あなたは時空を越えていて、同時に時空そのものなのです」

アルマティの話は私を混乱させた。

一体私は誰なのだ。

「この世界は私であり、同時にあなたでもあります。


それを知るために、私は自我を捨て去る必要がありました。

図らずも私は修繕していた屋根から落ちてしまいました。

地面に横たわりながら、真実に導かれるのを感じました。

私は死んだわけではなく、時空の渦に放り込まれたのです。


意識は領域を広げて、ある場面へと私を落としました。

そうして私はザオタルにならなければならなかったのです。

真実になり、私の真実を救うために。

そして今度はあなたが自分の真実を知らなければなりません」


「私は存在であり、そしてアルマティでもある、

ザオタルでもある、そういうことではないのか」

「それは私から言葉で伝えることはできません。

それをあなたがハルートに教えて下さい。


そうすれば、私は私を理解することができます」

アルマティの声は少し自信がないように聞こえた。

「真実は自分が存在だと知らないのだな。

私にはその答えが宿っているということか」


空風瞑想

空風瞑想は真我実現の瞑想法です。瞑想を実践する中で、いままで気づかなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そうして「私は誰か」の答えを見つけ、そこを自分の拠り所にするとき、新しい視点で人生を見つめることができるようになります。