超人ザオタル(62)宿探し

陽に照らされた薄茶色の乾いた道をひたすら歩いていく。

私はまるで風にでもなったような気がした。

遠目に道の傍らで座って目を閉じている若い男を見つけた。

近づくにつれて、それがアムシャだと分かった。


それはあのアムシャよりも若く見えた。

私がその横を通り過ぎようとするとき、アムシャは目を開けた。

そして私を見て微笑むと片手をそっと胸に当てた。

私も歩きながら目を合わせると、同じように手を胸に当ててうなずいた。


まるで昔から知っている親しい友人のような気がした。

そのまま言葉を交わすことなくアムシャの横を通り過ぎた。

私はまたひとり風のように歩いた。

青い空の下、大地に美しく描かれた道を。


こちらに向かってくる男女の二人連れが遠くに見えた。

それが誰だかすぐに分かった。

男は私を見つけて、何か話したそうな顔をしていた。

私はその男と話をする気はなかった。


その男がこれから体験することを尊重したかったからだ。

私は前だけを向いて、ふたりの脇を通り過ぎた。

男は私に話しかけようとしたが、あきらめたようだ。

若い女も不思議そうな顔で私を見ていた。


道の分岐が多くなってきた。

それにつれて人も多くなった。

一緒に歩く者や分岐で分かれる者が幾筋もの時の流れのようだ。

立ち止まる者や道を戻る者、それを横目に私は町を目指した。


町に到着すると、そこは行き交う人々であふれていた。

私は今夜の宿を探した。

一軒の宿を見つけて扉を開けた。

薄暗く狭い帳場に若い痩せた男がいて、威勢よくいらっしゃいと声をあげた。


「今夜泊まりたいのだが部屋はあるだろうか」

私がそう尋ねると、困ったような顔をした。

「ええ、部屋はありますが、その、失礼ですがお金はお持ちでしょうか」

男はそう言って、私を値踏みするように眺めた。


「残念ながら、金は持ってない。

なに、立派な部屋でなくてもいい。

どこか横になれる場所を貸してくれるだけで」

男の私を見る目で、これは望み薄だなと感じた。


「申し訳ないのですが、うちも商売でして、

お支払いできない方をお泊めすることはちょっと」

言い方は丁寧だったが、呆れたような口ぶりだった。

まあ、そうだろう。


「いや、手間を取らせて申し訳ない」

私はそう言って宿を出ようとした。

その時、小綺麗な身なりの若い女が宿に入ってきた。

私はぶつかりそうになって、失礼と声をかけた。


女ははっとしたように私を見た。

私はそのまま外に出て、別の宿はないか通りを見回した。

だが、どれが宿なのかさえよく分からない。

また町を出て、道の傍らで横になるしかないかと腕を組んだ。


「あの、よかったらうちの宿に泊まっていきませんか」

そう声をかけられたので振り返ると、先程、宿ですれ違った女だった。

「ええ、実は先程、その、宿泊を断れましてね。

恥ずかしながら、お金の持ち合わせがないもので」


「はい、それは分かっています。

その宿の主人は私でして、もちろん宿代はいりません」

そう言いながら私を見て微笑んだ。

「それはありがたいお申し出です。


この町も久しぶりで困っていたところなのです。

それではお世話になります」

私はそう言って、胸に手を当てた。

女主人はそれを聞いて、ほっとしたような表情をした。


空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で今まで気づかなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい人生が始まっていきます。