16:コンタクトパーソンの憂鬱(2)
なんだよ、話を聞いてくださいって…。
そう思いながら、
オレは椅子に座って、その画面を眺めた。
一応、ハードディスクのランプを確認した。
変な動きはしていないようだ。
目を画面に戻すと、
「そこにいますよね…」
と表示されている。
オレはゴクリとつばを飲み込んだ。
なんで、そんなこと分かるんだ。
なんか、よくあるオカルト話みたいだな。
んー、なんか面白いネタになるかな。
オレはちょっとお気楽なことを考えた。
何か返して、様子を見るか。
「こんにちは!」
オレはそう打ってみた。
「こんにちは!」
速攻で返ってきた。
そう攻めてきたか、どうする。
「なにか用かな」
オレは正攻法で行くことにした。
「えー、話を聞いてほしんです」
「神さま…」
なんだと、こいつ。
なんでオレがここにいると分かったんだ。
やっとあの激務から逃げ出して、
ようやく安息の地を見つけたというのに、
こいつにバレてしまったか。
ブラウザを閉じて、
パソコンをシャットダウンしようと思ったが、
こいつがどこまで情報を持っているのか気になった。
もう、IPバレしているだろう。
しつこく付きまとわれるに決っている。
こいつの持ってる情報をうまく探り出すか。
そうオレは考えた。
「話は聞いてやるが…」
「オレのことをそう呼ぶのは止めてくれ…」
考えた末に、そう入力した。
「分かりました…」
速攻であいつの返しがある。
「なんて呼べばいいですか、k…」
神さまと打ちそうになってる。
「そうだな、カエルだ、カエルと呼んでくれ」
オレは思いつきで、そう打ち込んだ。
誰も神だと思いつかない名前にしないと。
ネットは怖いからな…。
だが、よく考えたら「カ」が同じだった…。
「分かりました。カエルさま」
あいつが返してくる。
「そっちの名前は何だ」
名前を聞いてなかった。
「あ、すみません」
「では、私はメダカということで…」
やつの返しは相変わらず早い。
メダカか、、、
あっ、カエルの子供はメダカじゃないからな。
勘違いしてないよな。
まあ、どうでもいいことか。
「メダカ、それで何が聞きたんだ」
オレはさっさとこの問題を終わりにしたくなった。
「はい、カエルさま」
「人は死んだらどうなるのでしょうか」
また面倒なことを聞いてくるなぁ。
「それはな、メダカ、死んだら分かるよ」
説明が面倒なのではない。
本当にそういうことだ。
「ええ、そういうことなんでしょうが…」
「ちょっと、想像すると怖くなって…」
「違ってたら、教えてほしんですが…」
「死んだら、真っ暗闇の所に行くんでしょうか…」
メダカはちょっと妄想っ気があるな。
オレはそう思って、慈悲の心で答えてやることにした。
「よく知っているな」
「死んだら、暗闇の世界に行くことになる」
オレははっきりと答えた。
「ひえー、それは間違いないんでしょうか」
「カエルさま…」
メダカはかなりビビっているようだ。
「暗闇で、おまけにそこは無の世界だ」
「脅かすわけではないけどな…」
オレは速攻で返してやった。
ネットでオレをビビらせた罰だ。
(続く…)全5話
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