16:コンタクトパーソンの憂鬱(1)
その夜、
オレはいつものようにネットで時間を潰していた。
ブックマークされているサイトを回って、
あれこれと見ているうちに時間が過ぎていく。
いつの間にか深夜になっていた。
それそろ寝ないとマズイなぁ。
そう思ったとき、何やら勝手にウィンドウがパッと開いた。
あっ、これはマズイやつだな。
そう思って、オレは慌てて閉じた。
どこで踏んだかなと思ったけれども、
すぐに忘れて、その後も気ままにネットを眺めていた。
だが、それはいつの間にか裏で開いていた。
ブラウザの枚数が増えていたので気がついた。
おいおい、と思いながら、
それをアクティブにするとチャット画面のようだった。
そこに、「話を聞いてください…」と表示されている。
オレは気持ち悪くなって、すぐに閉じた。
興ざめして、ブラウザも閉じた。
念のため、パソコンの電源も落とした。
今日は終わりだ。
さて、寝るか。
オレはベッドで横になった。
さっきのことが気になる。
ネットにはいろいろあるから。
こんなことも起こるさと、
自分を落ち着かせようとした。
まさか、妙なウィルスじゃないよな。
パソコンが立ち上がらなくなるとか…。
変なトラブルはゴメンだ。
そんな妄想をしているうちに、
オレは眠ってしまった。
オレの仕事は365日、24時間営業だ。
休日はない。
だが、忙しいわけではない。
翌朝、目が覚めて、パソコンのことを思い出した。
気になって、すぐに起動してみた。
小さな機械音を鳴らしながら、
いつものように起動していく。
とりあえず、ひと安心だ。
オレはトイレに行って、洗面所で歯を磨いた。
冷たい水で顔を洗うと、スッキリ爽やかな気持ちになった。
部屋に戻って、パソコンを見ると、
何かいつもと違う。
ブラウザが立ち上がっていて、
いつものホームではない画面が開いている。
あれ、昨夜と同じあやしげなチャットのサイトだ。
そこには、
「話を聞いてください…」
そう表示されている。
ヤバイ、ヤバイと
速攻で閉じてしまおうかと思ったが、
マウスを動かす手を止めた。
オレはちょっと好奇心が出てきた。
(続く…)全5話
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