超人ザオタル(6)迷いの道
小屋の窓から見てみると、やはり扉の先に道が続いている。
ミスラの姿はもうそこにはなかった。
私はこの道をつくったのか。
いや、そんなことはない。
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私がそこに来る前にすでに道はあったのだ。
そして十分に道を歩んできた。
ミスラはそれでもまだ足りないというのか。
いったい、何が足りないのだ。
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私は椅子に座ったまま頭を抱えた。
もう森の中を自由に散策することさえできない。
小屋を出ることは、また道を歩み始めるということになる。
このままここに引きこもっているか。
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そんなことも長くは出来ないだろう。
道は目の前にあり、歩き始めるのを待っているのだ。
やるべきことはひとつしかなかった。
すでに私にはいくつもの疑問があった。
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道をつくったのは私なのか。
それなら私はこの道で何をするべきなのか。
あのミスラは何者なのか。、
なぜ私を知っているのか。
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そして私はいったい誰なのか。
その答えを出すためには道を歩まねばならない。
それはあまり期待できることではなかった。
結局、私は道で何も得るものなくこの森に引きこもったのだ。
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そして私はすべてを手放して終わりにしてしまった。
だが、それが私の究極的な答えではないことは確かだ。
道はそこに現れ、そしてミスラがここに来たのだ。
やはり、歩まねばならないのか。
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私の頭の中は様々な考えが浮かんでは消えていった。
この状況から何か確かなものを得たかった。
あの道で何かに迷ったのなら、またここに戻ればいい。
ここは道から外れた安息の地なのだ。
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そう思えるこの地があることが私にとっての救いだった。
私は立ち上がった。
扉を開けて、そこから続いている道を見た。
そして私は迷いながらもまた道に一歩を踏み出したのだ。
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