かみむすび(81)宇宙の居場所
とてつもなく巨大な身体の存在がいる。
その大きな存在は自分の身体さえ見ることができなかった。
自分の足先が何処にあるのか探さなければならなかったほどだ。
足先まで意識を動かすのに数億年かかった。
その存在は宇宙と呼ばれている。
その身体の中には様々な世界があった。
宇宙はその世界を数千億の目で見つめていた。
そうして自分が何処にいるのかを知ろうとしていた。
その小さな目たちは身体の中をくまなく探し回った。
宇宙船をつくって、あちこちにその目を飛ばした。
高性能な分析機械を使って、世界をくまなく調べ尽くした。
それでも自分が何処にいるのか分からなかった。
宇宙は思った、私は何処にいるのだろう。
数百億年後に気づいた。
私はいつでもそこにいたのだ。
その巨大な身体の外側に、その宇宙を見つめる者として。
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