かみむすび(80)道への一歩
そこにたどり着く道は細く険しい。
誰もがそれを目にして行くことを諦める。
その道を行かなくても生きていけるのだ。
わざわざ面倒なところを行くこともない。
だがしかし、私はそこを行かなければならなかった。
その道の先にたどり着かなければ、終わらないのだ魂が。
魂のこの震えを止めなければ、時の車輪に捉えられたまま。
そこで生きながら、必死にそれを回すことになる。
あの道を行けば、そこから解放される。
解放されることに意味はあるのか分からない。
意味がなかったらどう責任を取るつもりなのだ。
私の中の老人がそうかすれた声で叫んでいる。
だが、私はその道に一歩を踏み出した。
自分が自分であるためにその道を行く。
道が私を進ませてくれる。
歩き始めたなら、私がその道になるのだ。
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