かみむすび(76)真実の場所
はるか遠くにあると思っているものがある。
それを手にすることは無理だと諦めている。
自分にはそれを知る資格がないと思い込んでいる。
今の自分には無縁なことだと無視している。
それは本当の自分なのだ。
それはあまりにも近くにあるため気づかない。
すでに手にしていることさえ知らない。
その資格がないどころか、それそのものなのだ。
だが、そう知るためには心を削らなければならない。
それを受け入れるための隙間をつくって時を待つのだ。
その隙間をつくるために、私は絶え間なく心を削った。
古くて凝り固まった重い岩のような心を。
その隙間からは柔らかな風が流れ、透明な糸が現れる。
その糸をつかんでたどれば、本当の自分につながる。
それにつながったとき、そこで自分の真実に目覚めるのだ。
誰の人生の先にも、この目覚めが待っている。
0コメント