かみむすび(74)心の陽だまり
激しい嵐の夜にはその風雨の音に恐れて眠る。
心には希望のカケラもなく、恐れの闇に消え去った。
明日も嵐は止むことなく、私はここにいるだろう。
大地は絶望して凍えたまま、泥の河が猛々しく流れる。
私はそこで身体を丸めて自分を守るしかないのだ。
大地にひれ伏して、目を閉ざしていることしか出来ない。
大粒の雨に打たれ、空を裂く突風に晒される。
黒い河に放り込まれて、濁流に流されもがく。
だが、私の心の奥には陽だまりのような場所がある。
それはあまりにも小さいので恐れの闇にわずかだけ見える。
嵐の夜に私はその場所を探して想うのだ。
そこは嵐から離れている静まり返った別世界。
そこにいてもこの嵐が止むことはない。
だが、その陽だまりに触れているから、私は嵐に立ち向かえる。
それがどれだけ絶望的だろうと、私にはあの陽だまりがあるのだ。
そこが決して嵐の届くことのない自分自身だと知っている。
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