かみむすび(67)はじまりのひとり
はじまりはひとりだった。
それからふたりになり、さらにたくさんの仲間が増えた。
たくさんの仲間たちはそれぞれ自分が始まりだと思っている。
だが、はじまりはみんな同じひとりなのだ。
すべての仲間たちの過去はそこでひとつに重なる。
「私」といっている自分のはじまりは誰もが同じなのだ。
ただ、この細分化された世界ではそれぞれに違う姿に見える。
だから、みんな違う存在だと思い込んでいる。
はじまりのひとりに戻りたいのだろうか。
自分の未来はいったい誰になるのだろうか。
いまでもはじまりのひとりはそこにいる。
そのひとりと分かれた仲間たちのつながりは切れたことがない。
はじまりのひとりには時間がない。
過去も未来もなく、現在だけがある。
現在だけしかないため、それが現在だとも知らない。
すべての仲間と全時間はそのひとりの中で回っているのだ。
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