かみむすび(47)小さな鐘
小さな古い鐘が大地から掘り起こされた。
悠久の時を越えて朽ちることなくそれは存在してきた。
鐘は太陽の光を浴びながら空へと掲げられた。
そして小さな鐘はその時を待った。
雷に打たれた硬い木で鐘打ち棒がつくられた。
祭りの日にその鐘は神聖な祭壇に置かれた。
私は鐘打ち棒を持って祭壇の前に座り、厳かに鐘を打ち鳴らした。
鐘はその姿に合わないほどの大きな音を轟かせた。
その音が花びらのような金色の光になって祭壇に飛び散った。
それは始まりに過ぎなかった。
その鐘を打ち鳴らした者はその鐘に取り込まれてしまうのだ。
私は鐘の響きのように震えて、果てしなく青い空を仰いだ。
気づくと、私は祭壇で響き続ける小さな鐘になっていた。
鐘の響きは遥か天空までも轟かせ、そこに無数の光を放っていた。
私は祭壇に置かれたまま静かにそれを眺め続けた。
いつまでも響き渡る自らの鐘の音に耳を澄ませながら。
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