神の声 第4章:星空の伝承(15)

師は私に言った。


何が真実なのかを確かめなければならない。

この世界で信じられるものがあるのだろうか。

あなたの思い込みが真実なのではない。

誰かの言葉が真実なのではない。

あなたが実際に確かめたことが真実になる。

その真実への思いが、

あなたを導く灯火になるだろう。

その灯火に導かれてたなら、

いつか、あなたはたったひとつの確かな真実に辿り着く。

これがあなたに課せられた運命なのだ。


師は真実はひとつしかないと言っていた。

だが、世界には数多くの真実があるように見える。

それはひとつとは限らないのではないか。


もし、師の言うように

真実がひとつしかないのであれば、

たくさんある真実のうちのひとつを

自分のものにしなければならないということなのか。

どうやってそれをひとつに絞り込めば良いのか。

それを選ぶことは難しいと感じる。


人によって何が真実なのかは違っている。

自分が真実だと確信したことすら、

人生で何かを経験する度に変わったりもする。

世界での真実とは何か固定した概念ではない。

人生を生きていく中で、

より自分らしいこととの出会いがその時の真実だ。

そんな気がする。

真実は成長や経験とともに変わっていくもの。

そこに、たったひとつの真実があるとは思えない。


私は世界の中で、

ひとつの真実を見つけようとしてきたこともあったが、

それはことごとく失敗してきた。

私はその真実を見つけるために、多くの時間を費やしてきた。

だが、真実だと思って手にしたものは、

段々と次第に新鮮さを失って、枯れていってしまった。

それを手にした時の感動も、

取るに足らない霞んだ記憶に変わっていく。


そうなると、私はまた振り出しに戻って、

別の真実を探し出す。

その別の真実もやがて新鮮さを失い、

私は振り出しに戻される。

私は人生でこんなことを何度も繰り返してきた。

成功だと思ったものさえ、実は大したことはなく、

いつか失敗の一片として私の記憶に積み重ねられた。


その失敗の原因は、

世界に真実を求めてきたからだ。

世界の真実は数多くあるが、どれも脆くて儚いものだ。

その時々に、これは確かなことと思えても、

私の手の平の上で淡雪のように消えていく。


私は真実を見つけるとは、

数多くある世界の真実から、

自分の真実をひとつ選択するのだと思ってきた。

それをひとつの真実だと思って追いかけ続け過ぎた。


だから、私は消えたものを取り戻そうと、

あまりにも世界で必死になり過ぎたのだ。

何を捕まえても、消えてしまうと分かっていても、

求めることを止められない。

私の目は世界にしか向けることができなくなって、

そこでなんとかしなければと思い込んでいた。


私は世界を諦めなければならないと薄々知っていた。

そこには私の求める真実はないのだ。

だが、私はそここに真実があって欲しかった。

私は自分の内側に真実があると認めなかればならなかった。

師の言うように心の中にそれを見つけなければならない。


心の中に何があるだろう。

私はそれを観察してみた。

思考があり、感情があり、記憶がある。

だが、それらは一時的であり、変化し、

確かなものだとは言えない。


どれだけ高貴な心であろうと、

それを唯一の真実とするには頼りなさ過ぎる。

静寂や空意識、至福感でさえ、

一時的なものであり、信頼できるものではない。

そんな神秘的に感じるものさえも実体がなくて、

きっと何かの投影なのだ。


私とは誰なのか。

この問いかけによって、

師は本当の自分が見いだされると言っていた。


これは「私は誰か」と心の中で唱え続けることではない。

私は幾度となくそうしてみたことがある。

だが、私は誰なのかということを知りたいのに、

いつの間にか唱え続けることが目的になってしまい、

何の答えも得ることができなかった。


最も身近であるはずの自分が遠くに感じた。

私は自分について何も知らないと思い知らされた。

いままで私がしてきたことは、

自分の回りをぐるぐると回ってるだけだった。

それで、時には自分を知った気でいたのだ。


私にとって決定的に欠けているものは、

本当の自分を知らないということだ。

本当の自分を知ることで私は完全になれる。

それがきっとひとつの真実という言葉の意味なのだ。


私にとっての真実。

絶対に変わることのない真実とは何なのか。

それを瞑想して突き詰めていくと、

「私がいる」ことが真実だと分かる。


刻々と変わっていく世界を旅しているときでも、

そこに私がいることは変わらない。

心の中で何を考えようと、どんな感情でいようと、

私はいつも変わらずそこにいる。


それは一時的ではなく、いつもそうだ。

死んで生まれ変わっても、それでどんな人間になろうと、

それは変わらない。

これは私にとって紛れもない真実だった。

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。