神の声 第3章:大樹の精霊(4)

「無でありながら全てを生み出すこの世界唯一の高貴なる創造者よ」

「あなただけでなく、私さえもその存在でできているということ」

「お話を聞いて目が覚める思いがします」


「いままで世界にしか目を向けてこなかった私にも」

「その内なる本当の自分を知ることができるのでしょうか」

「もし本当の自分を知ったなら、私は木の精霊ではなくなるのでしょうか」

「私はこの先、何千年でも」

「この大地に根を張り続けて」

「樹の精霊として美しい世界を眺めながら生きていくことを望んでいます」

「それは私の生きるということの楽しみなのです」


「もしかすると、本当の自分という存在からしたら」

「私の眺めているこの世界は、取るに足らない幻想のようなものかもしれません」

「その幻想を楽しみに生きる私は愚かに思えるでしょう」

「本当の自分は、世界を楽しんで生きることを私から奪うのでしょうか」

「もしそれを拒んだのなら、私は幻想を真実として生きることを望む」

「愚かな者に成り下がるのでしょうか」

 精霊はそう男に尋ねた。


「風を友とし光を家族とする偉大なる大自然の守護者よ」

「確かに存在からすれば、この世界は変化し続けているため」

「幻想のようなものだと見られるでしょう」

「ただ、その幻想も存在によって創造されています」

「つまり、幻想さえも存在と無関係ではないということです」

「問題は世界が幻想なのか現実なのかではなく」

「世界に発現するものを本当の自分だと捉えてしまうことです」


「存在はすべての創造の大元ですから」

「何の性質も持っていてはいけません」

「何の性質もないから全てになれるのです」

「もし、存在が何かの性質を持っていたなら」

「たとえそれがどれだけ良いものであっても」

「それで創造された世界は」

「不自由で偏ったものになってしまいます」

「この世界がそうならないのは」

「存在に何の性質もないからです」


「もし、愚かであるということがあるとすれば」

「それはこの世界の現れを唯一の真実として見てしまうことです」

「実際に、この世界は存在の二次的な創造物です」

「存在だけが真実だと知ることだけが大いなる智慧なのです」

「この世界を望むように変えることが真実だと思う者が」

「愚かな者になるでしょう」


「この世界に在る生命は」

「誰でもこの存在を知ることができます」

「誰もが存在から創造されたのであって」

「そうでないものはこの世界にはないのです」

「瞑想して内なる目を養うことで」

「あなたもこの真実を知ることになるでしょう」


「そうなったとしても」

「自分が大樹の精霊であることを奪われたり」

「精霊として何千年も生きる望みを絶たれることはありません」

「それらは区別がなくなるのです」

 男はそう精霊に答えた。


空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。