青の記憶(4)変わらないもの

「青、教えてほしいことがある」

アンスロポスが青の部屋にやってきた。


「あれだ、自分を知るということ」

「あれはさっぱり分からんな、やっぱり」

「あんな青の話で、分かるわけがない」

アンスロポスは少し苛立っている。


「あれ、やっぱり分かりませんでしたか」

「ふむむ…」

青は、あれで分かったらスゴイと思った。


「やっぱりとか…、こうなると分かってたな」

「ちゃんと説明してくれ」

アンスロポスは訳が分からんという顔をした。


いつも騒がしい星がまたシンとして静まり返っている。

アンスロポスがここに来ると星は静かになるらしい。

みんな、口を閉じてじっと聞き耳を立てている。


ただ、青はあまり喋るのが得意ではない。

本当は黙っている方が好きだ。


「あなた、自分を知るってどういうことだと思ったんです」

青は困った顔でアンスロポスに聞いた。


「自分を知るって、そりゃ、あれだろ」

「自分の性格とか、信じている考え方とか、そういうことだろ」

「そんなことはちゃんと分かっている」

「それを確かめて、それで自分を知るんだろ」

アンスロポスはさも当たり前のように言った。


「そうしてみたけどな」

「どうも分からん」

「自分の性格とか、その考え方みたいなものは分かるが」

「これだっていう、カチッとしたものがない」


「自分の中でこれだって信じていることはある」

「だがな、オレが誰かの話を聞いて」

「なんだかそれが正しいように思えて」

「そっちを信じようと思ったりもする」


「いま信じているものが自分かと思うが」

「そうして心が揺れ動く度に」

「一瞬、自分が分からなくなる」

アンスロポスはお手上げという格好をした。


「あなたは、自分のこと性格とか考え方とか思ったんですね」

「それは、もちろん自分のことじゃないから…」

青はアンスロポスを残念な目で見た。


「だからだよ、青に聞いているのは」

「もっと的を絞って教えてくれ」

アンスロポスは青の物言いに苛立った。


「そうですね、ちょっと分かりにくかったですか」

「では、もうちょっと的を絞って…」

「自分というのは変わらないものです」

「自分の中の変わらないものを確かめてください」

青は、これがヒントですと言った。


「変わらないものだって、なんだそれ」

「そんなものが自分にあるのか」

アンスロポスは不満顔だ。


「ありますとも」

「それはもうはっきりと」

青はそう断言した。


「うむむ、ではそれを確かめてみる」

アンスロポスはそう言って部屋を出ると、

星に帰っていった。


静かだった星がたくさんの声でまた騒々しくなった。

青はその声を聞いて静かに微笑んだ。


空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。