青の記憶(3)自分探し

「青、ちょっと教えて欲しいんだが」

「オレはいったい誰なんだ」

星に住むアンスロポスが青の部屋に訪ねてきた。


「さあ、あなたが誰だかなんて分かりませんが」

「人間なんではないですか」

いきなりそんなことを聞かれて何と答えればいいのか。


「そんな答えでは困る」

「オレには無数の考えがある」

「無数の命がある」

「無数の動きがある」

「オレはそのうちのどれなんだ」

アンスロポスはイライラと落ち着きがない。


「それは困りました」

青は機嫌の悪そうなアンスロポスに困惑した。


「私はあなたが誰だか教えられません」

「それはあなたが見つけることで」

「誰かに教えてもらうことじゃありませんよ、きっと」

青は心のどこからか浮かんでくる言葉を伝えた。


いつも騒々しい星が今日はやけに静かだ。

シンと静まりかえって、大勢が耳を澄ませているのが分かる。


「青が教えられないなら仕方ないな…」

「では、どうすれば自分が誰だか分かるんだ」

アンスロポスはどうしてもそれを知りたいようだ。


「そうですね…」

「それは、自分が誰だか知ろうとすることです」

青はそれが当たり前かのように言った。


「そんなことはもう試してみた」

「それでも自分が分からない」

「それで困って、青に相談している」

アンスロポスは少し落ち着いてきたようだ。


「それは、それは…」

青は少し考えた。


「あなた、自分が誰だか見つけようとしませんでした?」

青ははっと気づいたような顔をした。


「もちろん、自分を見つけようとあちこち探したさ」

アンスロポスは得意げに言った。


「ああ、それだと自分が誰だか分かりませんよ」

「見つけるんじゃなくて、知るんですよ」

「だって、あなたはあなたであることがホントのことだから」

「それを見つけようとすると」

「あなた以外のものしか目に入りませんよ」

青はそういうことですよと言った。


「自分が誰だか見つけるのに、自分を探してはだめなのか」

「そんなことは初めて聞いたぞ」

アンスロポスは驚いた顔をした。


「まあ、そんなもんです」

「あなたは私の話を聞かないから」

青は驚きもせずにアンスロポスにそう言った。


「うむむ、そうか」

「自分を知ればいいんだな」

「では、そうしてみる」

アンスロポスはそう言って部屋を出ると星へと帰っていった。


静かだった星がたくさんの声で騒々しくなった。

青はその声を聞いて静かに微笑んだ。


空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。