16:コンタクトパーソンの憂鬱(4)

「そうか…」

「では、少しだけアドバイスを…」

「人生で何をするかを探すと行き詰まる…」

「誰が生きているのかを探してみてはどうか…」

オレはちょっと真面目に答えてやった。


「誰が生きているか…ですか…」

メダカはよく分からない様子だ。


「そうだ…」

「人間たちは人生で何をするかで忙しい…」

「それで、我がカエル界もいろいろと忙しくなる…」

「それは無限に続くのではと気が遠くなるほどだ…」

「それに嫌気が差して、オレはここに引きこもった…」

「おまえに見つかっちまったがな…」

「それは、まあいい…」

「そう、誰が生きているかだ…」

オレは余計なことをしゃべったかと思ったが、

まあ、良かろうと気にしないことにした。


「誰が生きているって…」

「それは自分じゃないんですか…」

メダカは当たり前という感じで言ってきた。


「その自分が誰なのか、本当に知っているのか…」

「その自分を知らないから…」

「生きる目的を失ったりするのさ…」

やはり、あまり喋りすぎないように気をつけないと。


「そんなこと当たり前すぎて…」

「そんなに大事だと思えません…」

まあ、だいたい想定通りの回答だ。


「当たり前なことだけど…」

「確かめようとすると…」

「途端に不確かになる…」

「それが自分自身ってやつだ…」

「メダカ、オレはもうあまり喋らんぞ…」

オレも調子に乗りやすいら、

引き際を間違えないようにしないと。


「カエルさま、それと死ぬこと生まれること…」

「そこに何か関係があるんですか…」

おっ、こいつやっぱり鋭いねぇ。

オレはちょっと嬉しくなった。


「大ありだよ、メダカ…」

オレはちょっと大げさに振った。


「どういうことですか…。」

「説明してください…」

説明かぁ。面倒だな。どうするか。


「言葉で説明しても分からんと思うぞ…」

オレは一応クギを刺しておいた。

どうせ、分かりませんとか言われるに決っている。


「僕も分かるように頑張ってみます…」

メダカもしつこい。しょうがないな。


「死んだら暗闇に行くと言っただろう…」

「あれは、別に恐れることでも何でもない…」

「人間は毎日死んでるようなもんだ…」

「眠るということがそれだ…」

「疲れたら眠りたいと思うだろう…」

「眠るために目を閉じて暗闇を求める…」

「暗闇と無の世界で人間は心安らぐのさ…」

「死ぬのもそれとそれほど変わらない…」

「ここまでは付いてこれるか…」

ここで、メダカに確認しないと。


「はい、カエルさま…」

「何とか…」

よし、頑張っているようだ。


「それでだ…」

「眠るときは目覚めても身体があるだろう…」

「だけど、死んだ時には目覚めようにも身体がない…」

「そこで人間は新しい身体を求める…」

「それが生まれるということだ…」

「太陽の光があふれるこの世界に生まれたとき…」

「目覚めることができて良かったと思うのさ…」

長ったらしい説明になりそうで、オレの心が折れそうだ。


「なんとなく、分かります…」

メダカはちゃんと聞いているようだ。

では、続けるとするか。

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけます。それを自分の拠り所にすることで、人はその真実と共に蘇り、新しい自分として生きることを始めていきます。