14:天国にだれも来ない(3)

天国に着くと、 神さまがニコニコして出迎えてくれた。  


どうじゃった、手応えはあったかの。 

神さまはふたりにそう聞いた。  


まあまあじゃないとかと思いますよ。 

天使は半分笑いながら、そう答えた。 


神見習いは苦笑いしながら立っていた。 


ところが、意外と反応があった。 


翌日から、天国に来ると神になれると聞いたのですがと、 

毎日、何人かが天国に来るようになった。 


天使と神見習いはその受け入れで忙しくなった。 


まず、神見習いになること、 

そして、天国の宣伝活動をすることを説明し、 

神さまが神見習いを簡単に承認する。 


忙しくなったのう。 

神さまは大張り切りだ。 


いや、忙しいのはこっちだから。 

天使と神見習いはそう言いたかった。 


神見習いが増えた。 

もう、天国の宣伝も必要なくなった。 


だが、次に何をすればいいのか分からない。 


天使と神見習い1号は、 

あれから神さまの指示を受けていない。 

ただ、天国で新人見習いの受け入れをする毎日だ。 


増えた神見習いたちは何もすることがない。 

何もない天国で、たくさんの神見習いたちが、 

幽霊のようにフラフラしている。 


何もしなくても神さまに咎められるわけではない。 

だが、いつまでもそうしていると飽きてくる。 


ある日、神見習いたちの中で、 

何もない天国にも、 

何かあったほうがいいのではという話になった。 


神さまの前でいつまでもフラフラしているわけにもいかない。 

一応、神見習いなのだ。 

何かしなくては神さまに申し訳が立たない。 


ある神見習いが言った。 

では、私は天国の風になろう。 

そう言って、人間の姿から風になった。 

天国に爽やかな風が吹いた。 


天国には何もないので、 

そういうことができる世界なのだ。  


それ見ていた別の神見習いが、 

それでは私は火になろう、 

そう言うと、火になった。 

天国は暖かくなった。 


また別の神見習いが、それでは私は水になろう、 

そう言うと、水になった。 

天国に雲が現れ、 

ヒンヤリと湿っぽくなった。  


それでは私は土になろう。

どこかの神見習いがそう言った。 

天国の足元に大地が現れた。 


大地に水がたまり、大きな池ができた。 

空には太陽が輝き、そこに風が行き渡る。 


私は草になろう。 

私は木になろう。 

私は魚になろう。 

そうして、何もなかった天国は、 

まるであの地上界のようになっていった。 


それは雄大な景色がそこに出来上がった。  

神見習いは、次々とそれぞれに思いつくもの、 

好きなものになっていった。 

みんなそれで満足そうだ。 


天国はそうして神見習いたちの変わった姿で満たされていった。  


天使と神見習い1号は、その様子にあっけにとられた。 

こんなことしていいのかなと、ちょっと心配になった。 


そこに神さまが現れた。 

ほおお、なかなか天国らしくなってきたのう。 

そう言って、満足気に微笑んだ。 


神さま、これってどういうことなんですか。 

天使は目を丸くして、神さまに聞いた。 


こうして世界は始まるのじゃ。  


すべてが神見習いじゃ。 

いや、これは見習いではないな。 

みんな神になったのじゃ。 

世界のすべてが神でつくられておる。 

神さまはそう言って、ニコニコした。 


神さま、やっぱりスゴイですね。 

思いつきと浅はかな考えしかないと思ってました。 

天使は尊敬の目で神さまを見た。 


まあ、このくらいはアタリマエのこと。 

天使を見て、神さまはニヤリと笑った。 


実は想定外のことだったがの。 

こうなって、ワシもびっくりじゃ。 

と神さまは心の中で思ったが、それは黙っていた。 


さて、おまえはどうする。 

神さまはそう神見習い1号に聞いた。 


そうですね、もう何に成ればいいでしょう。 

この世界が完璧すぎて思いつきませんね。 

神見習い1号は雄大な景色を見ながらため息を付いた。 


それでは、おまえは人間1号になればよい。 

最初に天国に来た名誉として、その権利を授けよう。 


神さまはそう神見習い1号に言った。 

もちろん、これも神さまのとっさの思いつきだ。 

神さまは、なかなかいい思いつきじゃと悦に入った。 


ありがとうございます。 

では、私は人間になります。 

神見習い1号は満面の笑みでそう答えた。  


天使よ、おまえは天使のままじゃ。 

ワシの雑用をやってくれる者がいないと困るんでな。  


えー、まあ、分かりました。 

天使は渋々ながら答えたが、 

神さまと一緒なら面白そうだとも思った。  


神さまはこれからどうするんですか。 

神見習い1号は神さまに聞いた。 


ワシか、ワシはまた天国をつくりに行く。 

何もない所をつくるのはなかなか大変での。 

時間がかかる。 

そう言って、わはは、と神さまは笑うと、 

いきなり、その場からぱっと消えた。 


天使は慌てて、ちょっと待って下さいよー、 

もう、マイペース過ぎます。 

そう言って神さまを追って消えた。 


神見習い1号は人間になって大地の上に立っていた。  

足元には柔らかい草を感じる。 

目の前には広大な海が広がり、 

豊かな雲が空をゆっくりと動いている。 

潮風が身体を撫でていく。 

見渡す限り、神で満ち溢れた世界だ。 


人間1号はこの世界が神々だということを知っている。 

天国は神々で満ち溢れているー。  

わははー、と人間は神さまのように笑った。 

世界も、わははーと笑った。 

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけます。それを自分の拠り所にすることで、人はその真実と共に蘇り、新しい自分として生きることを始めていきます。