05:水は流れて


山間の谷に川が流れている。 


その水はガラスのように冷たく透き通り、 

絶え間なく流れる音を立てながら、 

岩の間を通り抜けていく。 


次々に変わる山間の緑を映しながら、 

水は流れて旅をする。 


その川を流れている水は、 

自分のことを川だと思った。 


私は川なのだ。 

川として生きよう。 


やがて川の流れは緩やかになり、 

谷を流れているときよりも大きくなった。 


水は自分がとても成長したように感じた。  

川として生きることは、 とても楽しいことだと思った。  


水はあちこちと旅をして、 

いろいろな景色を眺め、 

世界のことをたくさん知った。 


川は海へと流れていく。 

ある日、川の水は海に合流した。 


海は川とは比べ物にならないほど大きなところだ。 

水は自分がとても大きな存在になったのを感じた。 


自分はもう川ではない。 

水は自分のことを海になったと思った。 


私は海なのだ。 

海として生きよう。 


水は果てしなく広がる海になって、 

さらに世界を旅した。 


小さな渚であったり、

荒れ狂う嵐にもなったりした。 

風のない日には、静かに星空を眺めた。 


水が南の海にいるときのこと、 

太陽が海を温めて、水を空へと吸い上げた。 


水は小さな粒になって、そして雲になった。 

それはとても軽やかで自由な感じがした。 


自分はもう海ではない。 

水は自分が雲になったと思った。 


私は雲なのだ。 

雲として生きよう。 


雲は風に吹かれて空を旅する。 

眼下には海が広がっている。 


やがて、その雲の中で小さな粒が集まりだし、 

その重さに耐えきれずに、 

水は雨粒となって地上へと落ちていった。  


自分はもう雲ではない。 

水は自分のとことを雨粒だと思った。 


私は雨粒なのだ。 

雨粒として生きよう。 


小さな雨粒は風に吹かれて、 

森の中の小さな葉の上に落ちた。 


雨粒はそこから土の上に落ちて、 

土の中に吸い込まれていった。  


何が起きているんだろう。 

水は自分が何になったのか分からなくなった。  


暗闇の中をゆっくりと動いているうちに、 

水は自分が小さな流れになっているのに気がついた。  


そして、突然、目の前が明るくなると、 

山間の景色が目に飛び込んできた。 


おっ、明るくなった。 

自分は何になったのだろう。 


 水は川になっていた。 

私は暗闇で流れていた存在ではない。 


私は川なのだ。 

川として生きよう。 


…ちょっと待って。 

水は思った、 

私はいったい誰なんだ。 

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。