27:カルマの消滅について


 かつてスピリット・ウェイカーは私にこう語った。


 あなたはカルマを持っている。そのカルマのために目が曇って真実が見えない。真実を見るためには、カルマという曇を取り去らなければならない。きっと、あなたはそう考えて、カルマを取り去ろうとする。そして、あなたはカルマを取り去る。だが、それは完全にはなくならない。なぜなら、カルマは日々つくられているからだ。何度取り去っても、それは亡霊のように蘇ってくる。


 あなたはカルマを完全に取り去ることができないため、いつまでも真実に目覚めることができない。それでも、あなたはカルマを取り去ろうと試み続ける。あなたはそうすることしか知らないのだ。カルマはいつまでも完全に消え去ることはなく、あなたはその努力が実らぬまま人生を終えていく。カルマを完全に解放することができなかったために、あなたはまた生まれ変わって、カルマを取り去るための人生に戻っていく。


 あなたはカルマがあるために人生には多くの障害があり、その障害のために、自分が望む人生を実現できないと思うようになる。カルマを取り去ることを始めた理由は、あなたが自分の真実を見るためだった。だが、いつしかカルマを取り去って、望む人生を送ることがあなたの目的になる。カルマはネガティブな考えや出来事だ。あなたは、そのネガティブなものを取り去り、自分の人生をポジティブなものに変えることが正しい道だと思うようになった。


 もちろん、カルマは亡霊のように何度でも再生するので、いくらカルマを取り去っても、あなたの人生はその影響を受ける。そのため、あなたはいつまでもカルマを背負ったまま、何度も同じ人生を繰り返し生きることになる。


 このカルマを完全に取り去る方法はあるのだろうか。それを完全に取り去る方法がひとつだけある。それはあなたが本当の自分に目覚めることだ。あなたは真実を知るためにカルマを取り去るのではなく、カルマを取り去るために、自分の真実に目覚める必要があるのだ。その目覚めはカルマを完全に超えている。その目覚めた場所は自分もカルマも区別がつかないところだ。そこにいれば、あなたはカルマなどないと理解できる。


 私たちが目覚めるためにしなければならないことは、カルマに過剰反応せず、本当の自分自身を見つけることに最善をつくすことだ。このことは簡単ではない。あなたはついカルマに反応してしまう。それが目につくので、どうしても取り去りたくなる。それは悪いことではないが、それに囚われすぎるとカルマしか見えなくなってしまう。そして、目覚めるという本来の目的を忘れて、いつの間にかカルマを取り去ることに夢中になっていくのだ。


 カルマを取り去ることは一定の効果があるが、それを完全に取り去ることはできないとあなたは分かっている。だが、カルマを取り去ることに一定の効果があることが、あなたを迷路の中に閉じ込める。あなたはそのわずかな成果を得ることに目がくらんで、カルマを完全に解放するという目的を見失うのだ。


 もし、あなたが勇気を出して、カルマに目を向けず、心の中心にそれを向けるなら、そこで本当の自分自身という真実に目覚める。あなたがその真実に目覚めたとき、そこにカルマがないことに気がつく。そこは身体や思考、カルマを超えていて、何の区別もない場所だ。何の区別もないところで、カルマは自分の存在を維持することができない。


 本当の自分自身とは区別できるすべての物事にとっての共通の根源だ。その根源はひとつだけであり、まだ物事として誕生する前の原初的な状態だ。あなた自身がその根源だと知ったとき、同時に自分にはカルマなどないということも知ることになる。すべてはひとつだけであり、相対的なものなどないと知るのだ。ただ、あなたがそう知ったとしても、これが自分だと感じる身体や心がある限り、相対的なものが存在することになり、カルマもそこに存在するだろう。それは無視できない真実だ。 


 だが、それは物事が多様に分離している世界でのみ感じられることで、分離のない自分自身の中心においてはすべてが同じ根源だ。これも真実だ。あなたは自分自身に二つの真実を抱えて生きていくことになる。それらの真実のうち、信頼できるのは根源としての自分自身だ。身体と心で構成された自分自身は変化する。いまの自分はつい数分前の身体や心と同一ではない。それを自分自身としていくことは、不確かな自分自身を拠り所として生きることになる。


 根源である自分自身は、身体や心、それを取り巻く世界に何が起こっても変わることはない。つまり、あなたがそれであるなら、どれだけ身体や心がカルマに取り憑かれていても、いつも変わることのない自分自身でいられる。この場所においては、カルマなど存在しないということが真実だ。カルマとは身体や心のように一時的な世界の姿にしか過ぎない。そんな幻のようなものがあなたの真実になることはないのだ。


 身体や心といったレベルにおいてのみ、あなたはカルマが存在するように思える。本当の自分自身のレベルではカルマは存在しない。身体や心が自分自身だと思えば、カルマは存在する。カルマは幻のような身体と心に依存している。本当の自分自身が現実の自分だということを知れば、カルマは依存するところを失い、自然に消滅する。あなたはそこでカルマを完全に取り去ることができる。そうしたいなら、あなたは自分自身の根源をたどり、自分とはその根源であることに目覚めなければならない。それがカルマから完全に自由になることのできる唯一の方法なのだ。 


空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。