22:幻想の世界について


かつてスピリット・ウェイカーは私にこう語った。


この世界は現実なのか幻想なのか。常に現在が過去に置き換わっていく世界は、現在をつかむことができないという点で幻想のようなものだ。これが現実と思っていることでも、すぐに時の流れが過去という非現実に変えていく。


いま、目の前にリンゴがあるとして、そこにリンゴがあることさえ確かな現実かどうか分からない。あなたがリンゴを見たり触ったりして感じられるとしても、ある領域ではそれが現実ではなくなるのだ。


リンゴはいくつかの原子の集合体だ。原子は電子と陽子で出来ている。陽子は更に小さな素粒子でできている。リンゴに限らず、すべてがそのようにできている。この世界の微細な領域は素粒子の海のようなものだ。


素粒子の海の世界では、リンゴは周りの空気やあなたの身体との区別がつかない存在となる。そこにはこの世界でリアルに感じられている物事が存在しない。つまり、あなたが五感で感じている世界は大きな世界のひとつの相でしかなく、自分の感覚という限られた情報で見ている世界に過ぎないということだ。


あなたが友だちといるときでも、現実として誰もいない世界が同時に存在している。あなたは現実的にそんな世界で生きている。だが、あなたの身体はこの世界を感知し、この世界こそ現実だと思い、ここでの人生をなんとかしなければならないと奮闘している。


あなたがどれだけ頑張っていても、別の領域の世界では何も起こっていない。あなたが何をしようと、素粒子の海は何も変わらない。それが平和であろうと戦争であろうと、裕福であろうと貧乏であろうと、心地よかろうが悪かろうが、天国だろうと地獄だろうと、そんなものは存在せず、ただ素粒子の海があるだけだ。


あなたはそんな世界が現実だと思えないだろう。あなたは裕福になって心地いい気持ちになることもあり、失敗して貧乏になることもある。この世界の現象はあなたにとって無視できない現実だ。いくら世界は素粒子の海だと言われても、この世界の感覚はリアルだ。


だが、あなたはそんな限定的な感覚の世界に閉じ込められているわけではない。この感覚の世界を突破して、素粒子よりももっと繊細な世界を知ることができる。


この世界の最小構成単位は「存在」だ。それは科学的に検出されることはない。なぜなら、それは客観的な対象ではないからだ。それは主体だ。あなたは特別な瞑想によって、この主体である「存在」に触れることができる。それが可能な理由は、あなたの身体や心も「存在」で作られているからだ。自分自身への探求を突き詰めていくと、必ずこの「存在」に辿り着く。


この「存在」こそが本当の自分自身であり、この世界を見ているリアルな自分なのだ。そして、自分が世界の最小構成単位である「存在」であることを知ったなら、あなたはこの世界のすべてになる。 


「存在」は現実に感じられるこの世界を構成している。世界は存在するとあなたが感じるのは、それが「存在」でつくられているからに他ならない。あなたの中心にある主体としての小さな「存在」は、全世界そのものであり、世界を覆い尽くしている最も大きな単位でもあるのだ。


表面的な姿形は違ったとしても、「存在」でつくられていないものはこの世界にない。これがこの宇宙の神秘であり、神の奇跡であり、あなたが知り得る最高の英知だ。どうしたら裕福になれるか、どうしたら健康になれるか、どうしたら幸福になれるか、どうしたら望みが叶うか、それらは現実的に大事なことかもしれないが、あなた自身の現実を知ったなら、それらは些細な問題になるだろう。


あなたはこの自分自身の現実を知るべき時期に来ている。誰かの話を信じる必要はない。自分自身の中の現実を信じればいいのだ。その現実を知ったとしても、あなたの感覚に映る世界は消えはしない。あなたが突然消え去ってしまうこともない。あなたは今まで通り身体や心として生きていくことになる。


それでもいいのだ。本当の自分が「存在」だと知っていることが大切だ。ある意味、あなたは二つの世界を生きていくことになる。ただ、「存在」がすべての世界の中心であり、すべての素材であることが、あなたにとっての決して変わらない現実としてある。


あなたが本当にいるところは「存在」の世界であり、身体や心で生きているところは感覚に限定されている世界だ。あなたは幸福になったり、落ち込んだりするだろう。だが、あなたは幸福になることも落ち込むこともない。あなたは時とともに移り変わる幻想の世界を現実のように生きるが、同時に変わることのない「存在」という現実から離れることなくそこにいるのだ。  

空風瞑想

空風瞑想は忘れてしまった本当の自分を取り戻す瞑想法です。瞑想の中で、今まで気が付かなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そこを自分の拠り所にするとき、新しい自分の人生が始まっていきます。